静岡市に神社は234社あります。その中で護国神社の話しをさせていただきます。
　出身は富士市で、昭和57年に国学院大学を卒業し、そのまま静岡県護国神社に奉職させていただきました。来年還暦です。禰宜という立場ですが、神社の中では宮司の次席となります。宮司を助けて、下の部下を指導するという立場です。禰宜を拝命してから、17年が経ちます。
　まず始めに、静岡県護国神社と申しますと、皆様方どのような事をご想像されますか？　靖国神社が全国の戦没者を祀っていますが、戦没者といっても明治維新から始まりました。戊辰戦争で朝廷のために戦って亡くなられた方、明治維新以降は、日清戦争、日露戦争等、戦争で命を落とされた皆様方をお祀りしています。靖国神社には246万の御英霊を、静岡の護国神社には7万6,230柱の御祭神をお祀りしております。
　暑い時期になり、終戦記念日が近づきますと、戦争云々とか、マスコミ等で取り上げられる機会が多くなります。実際には246万、7万6千柱のうちの大部分が、皆様方と同じ生活をなさっていた方が、戦争ということで徴兵され、戦地にて命を落とされました。

■静岡県護国神社のご創立から移転遷座
　・明治23年11月13日 静岡市北番町に「共祭招魂社」として創立。（敷地約3,000坪）
　・昭和14年4月1日 「静岡県護国神社」と改称現在に至る。
　・昭和17年10月8日 現在地に移転遷座した。（敷地約32,000坪、植林数約17,000本）

　静岡の護国神社ですが、皇室の方から崇敬を受けております。大正15年から、多くの皇族の方々に御参拝いただいております。昭和天皇様、香淳皇后様、今上陛下、皇后陛下の崇敬もありがたい事です。昭和32年の静岡国体の折、当社の静岡鉄道さんの線路近くの鳥居まで行幸いただき、御拝礼をいただきました。これが、全国の護国神社参拝の始まりとなりましたが、残念ながら現在は、A級戦犯という合祀の問題から、天皇陛下、皇后陛下の靖国神社、護国神社への御参拝はございません。
　皆様方、どの様なお考えをお持ちになっても構わないと思いますが、ただお間違えいただきたくないのが、戦没者というのは、決して戦争をしたくて戦争した訳ではなく、あくまでも国の為という名目で徴兵され戦地に赴いて亡くなられました。決して戦争を肯定している訳ではありません。国を、家族を守ろうという気持ちだけで戦争に行かれました。
　護国神社に祀られている神様は、戦争が好きな神様ではなく、平和を愛する神様というふうに認識いただけますと幸いです。