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平成26年6月16日(月)

静岡済生会総合病院 血液内科科長
竹内 隆浩 様

 


 

〜 血液疾患について 〜



深津 美穂 様
 はじめまして。この度はお話をさせていただく機会をいただき誠にありがとうございます。現在、血液内科を専門としており、その他膠原病、感染症の治療を中心に内科診療をおこなっております。その他、救急救命学会ICLSのインストラクターとディレクターを行っています。看護学校の講師もはじめて10年になります。
 最近印象としては白血病、血液疾患、癌等が増えてきている様にも感じます。統計的裏付けがある訳ではないのであくまでも私的な印象の範囲です。2012年秋にロバート・ゲイル氏に福島の原発についてお話をお伺いしたことがあるのですが、その時は福島の原発の放射線レベルは問題ないとのお話でした。しかし、チェルノブイリの原発事故から3-5年経過してから悪性腫瘍が増加したとの報告もあるため統計の結果等を注意深くみて行く必要もあるのではないかとも思っています。
 最近は次世代シーケンサーの急速な性能の向上により、解析の速さも格段に上がり、コストも大幅に安くなっています。それにより、骨髄異形成症候群(MDS)という疾患を20例比較し、この疾患がRNAスプライシングの異常が多いと言うことが判明してきたり、600例を比較することでSET-BP1という遺伝子がMDSの白血化に重要な役割を果たすことがわかってきたり、コヒーシンという姉妹染色体をつなぐ因子の異常がこの病態の原因であることなどがわかってきました(東京大学、京都大学の小川誠司教授らのグループからの報告)。その他この疾患に対してメチル化阻害剤という新たな薬剤が登場してきており、高齢者でも治療成績の向上が認められてきています。
 また、もう一つリンパ腫、膀胱癌での話ですが、“抗CD47抗体”というものに非常に注目しています。CD47抗原とは、リンパ腫の幹細胞等、様々な種類の癌幹細胞の表面に出ていることが報告されている表面マーカーであり、“Don’t eat me”という“私をたべないで”という信号を出しているようです。これはStanford大学のWeissman教授らのグループがおこなっている研究であり、これに対して抗CD47抗体を加えつつ、抗CD20抗体等で治療するとマウスレベルでは治療成績の向上が認められています。今後はこうした“Don’t eat me”抗原等をターゲットにした治療を組み合わせた抗癌剤治療が出てくるのではないかと考えています。今、抗癌剤治療薬の日々の進歩は著しく早く、“エピジェネティクス”と呼ばれる学問領域からの新薬が登場してきている時代となってきています。今後更なる根治が目指せる治療薬の出現に期待をしています。

 

 

 

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